過去の定例会・03

みかんの定例会

11月の研修

千葉市にあるカンナ訪問看護ステーションさんにお越しいただきお話しいただきました。病院勤務時に救急科にいたとの事で、たくさんのご経験をお持ちの方でした。

緊急を要する事案と判断する一つに人工呼吸器のアラームがあります。はじめに、人工呼吸器のアラームの種類と原因、対応方法をお話ししてくださいました。利用者様の痰などが増えてくると人工呼吸器のモニターでは「気道内圧上限」のアラームがなります。(アラームの設定には個人差があります)アラームが鳴る前には吸引をしてしまう事がほとんどですが、突然痰が呼吸に合わせて上がってくることもあり「気道内圧上限」のアラームがなることもあります。気道内圧を上昇させたままでは肺に圧損傷をあたえてしまうこともあるそうです。気道内圧上限の原因は先に述べた痰の貯留の他に利用者様側の問題としてカフ圧低下による分泌物のたれこみ、喘息発作、疼痛、不安などでも上昇するそうです。他に気管チューブ内で痰が固って狭窄や閉塞を起こしてしまい、吸引時にカテーテルが入らなくなる場合があるので、その場合は早急に医師に連絡をし気管チューブを交換する必要があるそうです。予防としては加湿を十分にして、痰が固くならないようにすることです。その他に呼吸器側の原因として、回路の狭窄、閉塞があった場合やウォータートラップの満水、回路内に水が溜まっているなどがあります。こちらも異音を聞き逃さない、定期的に機械周りを点検するなどの対応が必要です。

アラームの種類には「気道内圧下限」もあります。こちらは何らかの原因で吸気ガスを送っても気道内圧が十分に上がらない場合にアラームが鳴ります。こちらは回路のつなぎ目が緩んだり、外れたりした場合やウォータートラップのカップの装着不良、回路ホースに亀裂が生じている場合などあります。カニューレのカフ圧低下もアラームがなるので注意が必要です。カフ圧の低下の場合はご家族や看護師にエアの補充をお願いすることになります。

「気道内圧下限」の場合利用者側に十分な酸素が行きわたっていませんので発見時にはパルスオキシメーター等でSPO2を計り、酸素濃度が低い場合は早急に訪問看護、医師などに連絡をしていくことが求められます。

その後バックバルブの使い方を体験し今回の定例会は終了しました。バッグバルブも小児用、大人用で大きさや容量など用途によって違いがあるとの事でした。

ケアに入る際は、バックバルブ、パルスオキシメーターの場所を必ず把握し、呼吸器の周辺の状況など常に気を配るよう従事していくことを再確認した研修でした。

10月の研修

人工呼吸器の解説、新型カフアシストの解説及び体験

今回は利用者様宅で使用されている人工呼吸器のメーカー元でもあるフィリップス・レスピロニクスの社員様にお越しいただき、人工呼吸器の解説等をして頂きました。同社で取り扱っている機種で一番多く出回っているトリロジーをお持ちいただき外観の説明、バッテリーの充電時間と使用可能時間の説明、モニターの見方、アラーム音の対処方法などを丁寧に教えて頂きました。

<バッテリーについて>
内部バッテリー3時間+着脱バッテリー3時間 予備着脱バッテリー(フル充電で)3時間バッテリー残量はバッテリー背部にあるチェックボタンで確認可能

<吸気フィルタについて>
週一回水洗いし乾燥させたものを使用する。月に一回は中性洗剤を使用し洗浄、汚れがひどい場合は新品と交換する。

<アラームについて>
アラームが鳴っても焦らずに、モニターを見てどのような表示がされているか確認をし、利用者様の状況や機械、回路の異常がないかを確かめるようにする。人工呼吸器の近くには機械の取り扱い説明書や「アラームトラブルシューテイング一覧」があるので該当するものを実施する。

その他に新型のカフアシストE70の解説をして頂きました。このE70は現行のカフアシストと大きく変わり、重量が11Kg あったものが4.3Kgに、アナログ使用だったものがデジタルになりました。実際このカフアシストは、医療行為なので私たちが実際に取り扱う事はありませんが、利用者様のお宅で実施している場面を見る事が多く、なじみのあるものです。今回は新しいE70を実際に体験さえてもらうこともできました。実際に体験すると、普段何気なくしている呼吸と人工的に送り込まれる呼吸とのタイミングが合わないや、肺が開いたようにスッキリしたと感想を述べるスタッフもいました。

カフアシストの体験を待っている間にもう一つ、バッグバルブの空気量を計る計測器をお持ちいただいていたので、利用者様の普段の換気量がどれくらいの量なのかをバックバルブを用いて体験しました。両手で押すイメージが強いバックバルブですが、片方の手で軽く押すだけで、450ml〜550ml位の空気を送り込むことが出来るので、緊急時に片手でバックを持ち、片手で緊急要請をする電話などの対応ができると思います。

このように今回の定例会では日頃のケアで一番よく関わる人工呼吸器について改めて勉強する事ができました。緊急時にもあわてることなく対応できるように各自復習していきたいと思います。

8月の研修

9月1日の防災の日を前にし、船橋消防署夏見分署から4名の署員の方に来ていただき、先に消防署員による手順の説明を受けました。そのあと2名1組で人形模型を使い胸部圧迫と人工呼吸とAEDの方法を学びました。

今回は15名の参加者があり、スタッフからの豆知識で胸骨圧迫ではリズミカルに行うのに童謡の『森のくまさん』や『うさぎとかめ』のリズムが良いなど、消防署員の方も知らないような情報や意見が飛びかうとても活発で有意義な定例会でした。

応急救護の手順

  • 救護者発見、両肩を叩き耳元で声を3回かけ意識の有無確認
  • 大きな声で周りに助けを求め、1人には意識がないことを119番に通報し戻ってもらうことを伝え、また、別の人にAEDを持ってきてもらう
  • 救護者の呼吸の確認、6数えて呼吸の有無をみる
  • 呼吸なしの場合、胸骨圧迫(両手の指を組み胸の中心に手根部をあて5cm程沈むように上からリズミカルに30回押す)と人工呼吸(左ひじを付き手をおでこに添え鼻を塞ぎ右手で顎を上げ気道を確保し口を覆うように息を吐く)2回をワンセットとし救急隊員が到着するまで続ける
  • AED到着、機械の電源を入れ指示通りにする

AED使用時の注意点

  1. パットは素肌に装着
  2. 胸部の貴金属は外す(ネックレスやブラジャー等)
  3. 体毛(胸毛等)は剃る

7月の研修

在宅難病患者一時入院事業(レスパイト入院について)の報告会

先日6月20日に行われたALS協会の会合で、レスパイト入院事業についての説明がありました。以前は受け入れ病院が少なく、本事業の実態が不明確な事もあり患者様の中では、このようなサービスがあること自体知らない方が多かったそうです。今回受け入れ病院が13病院に増えたことにより、もっとたくさんの患者様に知って欲しいとのことでした。

すでに本事業を利用されている患者様の中には頻繁に(入院可能限度、年度内3回)利用されている方もいるそうです。レスパイト入院では医療目的(胃ろう交換など治療・検査)は行えないそうですが、活用する事で介護者(ご家族)が休養を取る事ができ、介護負担の軽減にもつながるので、このようなサービスを利用できることは嬉しいことです。。しかし一方では、在宅と病院での環境・ケアの違いにより患者様にストレスとなり、体調を崩されたりする場合も少なくないと言います。ナースコールを鳴らしてもなかなか来てもらえない、呼吸器のアラームがなっても対処方法に手間取ってしまう・・・、忙しそうなので吸引をしてもらいたいけど言い出せない。このような経験で次回の利用を踏みとどまってしまうこともあるようです。病院側も専任のスタッフを増員したり、研修を行ったりと患者様の受け入れに力を入れていることも現実です。患者・ご家族の要望で実現したこの事業が、双方の負担が軽減し今後も発展する事を期待したいと思います。

6月の研修

今回は、介護労働安定センターヘルスカウンセラーで理学療法士の猿田様をお招きし、介護職の職業病とも言うべき腰痛の予防対策についてお話していただきました。

腰痛と一言で言っても、急性的なものか慢性的なものに分けられ、その中にも直接腰を痛めるものや、その周辺の骨盤のゆがみからくる痛み、腫瘍が原因で痛みを感じる場合など実に様々あるそうです。ただ腰痛で病院へ行ったとしても、疾患名を診断されることは少なく、ほとんど場合「電気治療とマッサージ、湿布をもらって帰る」というパターンになりがちです。では、腰を酷使する介護職員が自分で自分の身を守るためにはどうすれば良いのでしょうか。猿田先生は資料を基に、普段の作業姿勢を見直すこと、インナーマッスルを鍛え筋肉をしなやかに動かせるように日ごろから、ストレッチ等を行うことを推奨されていました。インナーマッスルを鍛えるのは私たちが考えるような激しい筋肉トレーニングではなく、ゆっくりと呼吸をしながら腹筋や背筋に負荷をかけるだけで鍛えらるとのことでした。今回は限られた時間でしたが、脊柱模型で骨と筋肉、神経や靭帯の位置関係を丁寧に解説していただき、仕事中のちょっとした時間にできるストレッチも教えていただけました。介護職は厚生労働省の認める重労働に部類される職種です。自分の体を理解して永く健康に従事できるよう心がけていきたいものです。

4月の研修

今回は、みかんの利用者様と接点のあるラビット歯科さんの歯科衛生士の森尻さんとコーディネーターの村田さんにお越しいただき、口腔ケアの必要性と普段のケアに取り入れたいケア方法などをお話しいただきました。

ラビット歯科さんでは、診療チームと嚥下訓練などを指導するリハビリチームがあるそうで、森尻さんは嚥下訓練や正しい口腔ケアを指導する事を主にされているそうです。プロジェクターを使い、頂いた資料も細かく書かれ、とてもわかりやすい説明をしていただきました。歯の模型を使い歯の磨き方も詳しく説明をしていただけました。

森尻さん自身もALSの患者さんに携わる事が多いそうで、筋力の落ちた方の口腔内の特徴をよく理解したうえで、ケアの提案をしていただきました。通常、私たちが使うような歯ブラシではなく、1本ブラシというものを使用すると、あまり開口できない方にも口腔内の視界を遮ることなく、細かなところまでケアすることが出来るとのことでした。最後に口腔ティッシュを一人一枚ずつ配って頂き、右と左の裏頬のマッサージで生じる痛みの違いを実験し、良く使う歯側の筋肉が緊張しているとのお話をしていただき、中からも外からの出来るマッサージの方法を教えてくださいました。これは利用者様にもすぐに実践できる内容でしたので、スタッフも真剣に聞いていました。

口腔ケアの話は奥が深いので一回だけの研修ではなかなか伝えきれないとのことで、今後も定期的な研修をして、続けていきたいと思います。

3月の研修

新人研修の意味も込めて、再度アンビューバックについて学びました。 以下は、講師からの説明の要約です。

  • ①気道内圧は、気道内にかかる圧のことで人工呼吸器では、気道内が陽圧となり、圧外傷をきたす恐れがあるため、気道内圧の管理は重要とのこと。
  • ②一回の呼吸で吸う量。正常は7~9mL/Kg(約500mL)で、アンビューバックを思い切って押すと約800 mL入るので注意が必要で、人工呼吸器で設定した換気回数(呼吸回数)が標準で15回/min位なので、利用者様の状況により一回換気量、換気回数が違うので緊急時対応の為に確認しておくことが重要とのこと。
  • ③アンビューバックを使用するときは必ずパルスオキシメーターにより、 酸素飽和度測定をしないといけない。
  • ④緊急時のため移用者様近くにアンビューバックは常備することが必要で、接続部の清潔を保つために、ラップなどで包み清潔にしておくことが必要とのこと。

せっかくの機会なので、演習をしていただきました。

演習では、リズムを1・2・3・4・5と声に出して、アンビューバックによる換気を繰り返し、演習をかわるがわる行いました。

普段疑問に思っているケアに関わる質問にも丁寧に答えて頂きました。使用しない事態を祈りながら、知識として知っていることは重要性だと考えました。

2月の研修

今回は、いろいろなヒヤリハットの事例を基に、対応について、グループ討議をしました。自分の思考回路では考えもつかないことなども提案され、視野が広がりました。日ごろから、問題意識を持っていることが危険回避にもつながると思います。

1月の研修

今月は新年初めての定例会と、訪問介護みかんの開業8年目の節目の日でもありました。

前半の部では社長より勤続5年、3年のスタッフに表彰がありました。

後半の部では先日行われた介護福祉士資格試験の試験問題から数問ピックアップし、問題に挑戦してもらいました。介護福祉士の試験は年々難度が上がり、決まった範囲の中から更に、奥行きのある内容が出題されています。

今回挑戦してもらった問題の中には、通常のケアやヘルパーとして兼ね備えている知識を引き出せる問題を実施しました。中々わかっていても忘れてしまっている内容もあるようでした。

一口に介護と言ってもその業種や形態はそれぞれなので、全てを網羅するのは難しいことではありますが、基礎基本をしっかり思い出し、さらなる技術の向上を図っていき、スタッフ全員が共通の信念を持ち、利用者様に寄り添う介護を実現できるよう、定例会での内容を今後も有意義のあるものにしていきたいです。

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